結婚・退職・そしてリスタートへの第一歩
結婚による環境の変化とキャリアの選択
地元を離れることに伴う退職と迷い
結婚と同時に、夫の勤務先が遠方だったため、地元を離れることになりました。
心も体も疲弊していたとはいえ、当時勤めていた銀行でのキャリアは順調で、辞めることに迷いもありましたが、当時の社会的な価値観や夫の勤務地との距離などを考慮し、退職を決意しました。
結婚後に子育てをしながらのこの業務は難しく、また、「結婚したら仕事を辞めるのが当たり前」と言われる風潮がまだ若干残っている時代でした。私もなんとなくその流れに自然と乗ったのです。
社会の価値観と自分の選択
結婚によってキャリアを手放す―。それは私にとって、とても大きな決断でした。 「この人と結婚する=キャリアを諦める」「結婚しない=キャリアを継続できる」そんな極端とも言える二択に、当時の私は立たされていました。そして私は、結婚を選びました。 生まれてから一度も住んだことのない土地へ行くことになり、友人も知り合いもいない。 振り返れば、不安材料は山ほどあったはずなのに、なぜか私は「これから始まる新しい生活が楽しみだ!」と、前向きに捉えていたのです。 “キャリアを失うこと”よりも、“新しい生活が始まるワクワク感”の方が大きかった。そう感じていたのは、若さゆえの勢いだったのかもしれません。
あの時、自分の本音や将来への不安を深く掘り下げていれば、もしかしたら違う選択肢もあったのかもしれない。
でも、あの時の選択があったからこそ、今の自分につながっている。そう思えるようになったのは、だいぶ後になってからのことです。
このような結婚とキャリアの葛藤は、今も多くの女性が直面する問題だと思います。「家庭か、仕事か」ではなく、「どちらも大切にする」選択肢を持てる社会になってほしい。
そんな願いも込めて、当時の私の本音を書き残しておきたいと思います。