職業訓練校との出会いと再就職への道
スキルの気づき
スキル不足という現実に直面
ハローワークで様々な求人票を見ているうちに、私はあることに気づきました。
銀行では独自のワークステーションを使っていたため、一般的なパソコンスキルがまったく身についていなかったのです。 「このままでは再就職は難しい」と焦っていた矢先、ハローワークで紹介されたのが職業訓練校でした。 試験に合格すれば、3ヶ月間週5日、朝から夕方までみっちり通えるうえ、一定の条件を満たせば失業保険の給付期間も延長されるという制度があると教えてもらいました。
職業訓練で得たスキルと自信
試験の内容は一般教養という名の5教科の試験でした。中学レベルの問題だったと思います。自分では出来たような、出来ないような。という感じでしたが、何とか試験に合格しました。 訓練校のクラスには、10代の若者から60代のベテランまで、実にさまざまな年代の人たちが集まっていました。 なかには若い講師に対して不満ばかりを口にする60代の受講生もいて、年齢を超えた意見の対立により、クラス内はときに殺伐とした雰囲気にもなりました。 そんな中、私は「ここで学ばなければ再就職は難しい」と必死でした。
最初は訳のわからない分厚いテキストを前に、まったく理解できず、座学も実習も何度も心が折れそうになりました。それでも家に帰ってから復習・予習を繰り返すうちに、3ヶ月目には自分でも驚くほどスキルが身についていることを実感できるようになったのです。
タイピングのスピードが上がり、Excelで関数が使えるようになり、PowerPointで資料が作れるようになった頃には、「自分にもできるんだ」という確かな手応えと自信が生まれていました。失業保険を受け取りながら学べた6ヶ月間、制度のありがたさと、自分の未来への可能性を再確認できた時間でした。
大学事務でのアルバイトが未来への第一歩に
働きやすさと人間関係の温かさ
訓練校修了後、再就職の第一歩として選んだのは、地元の国立大学での事務アルバイトでした。ハローワークでの求人です。
週4日、1日6時間の勤務で、扶養の範囲内で働けるちょうどよい条件。仕事内容も無理がなく、同じようなライフステージの女性が多く働いていたため、人間関係もスムーズでした。1年の契約も終わる頃、妊娠が発覚。つわりの辛い時期もありましたが、大学という職場は、結婚・妊娠・出産・育児を経て働く女性が多く、まさに“理解ある職場”でした。銀行時代とは真逆の職場環境で、同僚のサポートもあり、安心して契約期間を終えることができました。
学生の役に立つ“大学事務のやりがい”に気づいた瞬間
お金やノルマに追われていた銀行時代とは異なり、大学事務の仕事には「誰かの役に立っている」と実感できる場面がたくさんありました。
学生からの書類申請や窓口対応、教員の事務サポートなど、一つひとつの業務は決して派手ではありませんが、目の前の誰かの役に立っているという実感がありました。
特に印象に残っているのは、提出期限に間に合わないと焦っている学生に丁寧に説明し、「助かりました、ありがとうございます」と感謝されたこと。小さなことでも、直接「ありがとう」が返ってくる 。それが、私にとってはとても新鮮で、心から嬉しい出来事でした。 「学生の役に立つ」「教育の現場を支える」この“新しいやりがい”に気づいたことが、その後の私のキャリアの方向性を決定づけたように思います。